株式会社MICメディカル vol.2

モニタリング業務に強み  シーエーシーとの連携強化で大手CROにキャッチアップを目指す

 株式会社MICメディカル(証券コード:2166)は09年11月26日に09年9月期の決算説明会を行った。今回は決算説明会に出席し、同社の業績面を中心にまとめた。

今期の業績は大口案件の受注などを背景に増収・増益計画

 09年9月期は第3四半期以降、2四半期連続減収・減益となったことが足かせとなって、売上高は前年同期比0.5%増の33億75百万円、経常利益が同22.8%減の2億61百万円、当期利益が同9.8%減の1億38百万円と、微増収・減益となった。
 会社サイドでは、09年9月期の下期をボトムとして、今期は回復基調の業績見通しを公表している。主なユーザーである医薬品業界の多くがリーマンショック以降、全社的な経費削減方針のもと新薬開発計画の見直しを実施した影響もあり、副作用等の発生に起因するケースも含め例年に増してプロジェクトの中断、縮小、キャンセルが頻発した影響などが09年9月期決算に反映された。こうした動きは一段落する一方で、ここにきて引き合いが順調に出始めている。実際、新年度入りした10月末の受注残高は前期末でもある9月末の13億57百万円から16億円と増加している。出足順調な今期は前年同期比6.0%の増収、同12.6%の経常増益を見込んでいる。
 同社の強みであるモニタリング業務は、派遣と受託とのバランス(理想は1対1)を活かした同社独自モデルであるハイブリッド型CROを推進することによって、収益力の向上を図っている。これに、09年5月に筆頭株主になったシーエーシーは、新薬開発業務においても本業であるIT技術を活かしたDM統計解析に強みを持ち、当社のモニタリング業務と相乗効果が期待できる。
 ところで、シーエーシーとの本格的な業務提携は今期からスタートするため、収益にどれだけ寄与していくのか不透明という判断から、会社計画の業績計画には織り込んでいない。今年度は両社の強みを活かしたシナジー効果がでてくると見込まれるだけに、その成果が期待できる一年となりそうだ。

今期の事業展開などを語る間瀬社長
【会社概要】
企業名株式会社MICメディカル
所在地東京都文京区湯島4-2-4 杏林ビル
代表者名代表取締役社長 間瀬 正三
事業概要医薬品、医療機器に関する支援業務(CRO事業)等
URLhttp://www.micjp.co.jp/
売買単位1株
株価118,000円(09年12月2日終値)

(1)09年9月期の業績概況

 同社は、医薬品メーカーが新薬候補の安全性・有効性などを臨床試験を通じて証明し、当局から製造販売承認を得るために必要な業務を支援するCRO業務を手掛けている。特に、同社はモニタリング業務(臨床試験が法令を守りながら実施されていることを管理確認する業務)に強く、09年5月に同社の筆頭株主になった螢掘璽─璽掘次陛貍1部上場企業)社は、臨床試験から得られるデータの集積、解析などの分野を得意としており、両社の強みを活かした関係強化を推進している。
 同社の特色は、安定した稼働率が見込める派遣業務と単価の高い受託業務をバランスよく運営する「ハイブリッド型CRO」というビジネスモデルである。ユーザーの多様なニーズに応えることができる一方で、同社にとっては安定した収益性を確保できる、というものである。
 09年9月期の派遣業務は派遣先が37社、派遣数が160名、受託業務は受託案件が12件、71名となっている。05年9月期には派遣業務のウエイトが90%近くであったが、09年9月期にはほぼ6対4と受託業務の比重が高まる傾向にある。
 09年9月期の業績は、売上高が前年度比0.5%増の33億75百万円、経常利益が同22.8%減の2億61百万円、当期利益が同9.8%減の1億38百万円となった。
 四半期別にみた売上高と経常利益は、右のグラフの通りで、09年9月期は前期とは対照に利益の低下傾向が顕著に推移した1年であったことが窺える。
 主な要因は一般に収益性の高い受託業務の分野で、中断・延期が特に第4四半期に出てきたことが大きく影響しているとのこと。
 田村副社長によると「受託業務だけの収益構造だと、今回のような局面では稼働率の大幅な低下によって赤字に転落する可能性が高かったが、黒字を確保できたのは、派遣業務に人材を柔軟にシフトできたことが大きい」との認識を示しており、同社のハイブリッド型ビジネスの特色を端的に示す事例といえそうだ。

 09年9月期の注目すべきイベントとしては、筆頭株主がオリックスからシーエーシーに代わったことであろう。同社はシステム開発会社で、ITの強みを活かして、臨床開発おけるデータ解析などの分野に進出している。同社から取締役を受け入れるなど、資本的関係、人的関係を強化した事業年度となった。
 一方、MICメディカルの2番目の大株主である総合メディカル蝓陛貍1部上場企業)との関係は09年9月期の定時株主総会を以って、同社から受け入れていた取締役が退任。また、03年8月に総合メディカルとの合弁会社であった総合SMO蝓蔽蹇SMO《治験施設支援機関》は治験業務を支援)は06年3月に総合メディカルに全株式を譲渡、09年10月には総合メディカルがCRO業界の大手企業であるイーピーエス蝓陛貍1部上場)に譲渡するなど、同社との取引関係はシーエーシーとは好対照の動きとなった。

(2)10年9月期の業績は増収・増益を計画

 10月から新年度入りした10年9月期の計画は売上高が前年同期比6.0%増の35億75百万円、経常利益が同12.6%増の2億94百万円、当期利益が22.5%増の1億69百万円を見込んでいる。また、今上期の売上高は同2.6%減の17億22百万円、経常利益が同半減の1億7百万円、当期利益が同53.2%減の58百万円を公表している。今上期は前年の好調だった上期との比較であるため、減収・減益になるが、四半期ベースでみると、売上高8億円、経常利益18百万円であった前期の第4四半期をボトムとして、業績回復していくシナリオを会社では描いている。以下、今期の取り組みなどの概要をまとめた。

ヽ杏環境はCROへのニーズが高いものの業界再編・淘汰を想定  同社を取り巻く外部環境は、医薬品メーカーの新薬に対する取り組みがどうなるかによって、影響される。最近の医薬品業界は、医療費の抑制のために普及し始めているのが後発医薬品、つまりジェネリック医薬品である。日本ジェネリック製薬協会によると、07年度の数量ベースでの国内シェアは06年度の16.9%から17.2%へとわずかながらアップしている。さらに、薬価の引き下げ、国際競争の激化、医薬品の特許切れなど、先発医薬品メーカーにとっては厳しい経営環境が続く。それだけに、巨額の投資と時間をかけても新薬を開発していかなければ、従来のような高い収益性を維持できない。そこで、医薬品メーカーは開発経費の効率的な活用を図るために、新薬開発に向けた新しい物質の探索に自社の経営資源を集中化させ、臨床試験などに関しては外部の専門機関に委託する傾向は変わらないと、同社ではみている。その前提に立てば、CRO業界は依然として成長余力はあるとみているが、一方で、臨床試験における業務の高度化、規模の拡大、専門化を背景に、ユーザーである医薬品メーカーのニーズに応えきれない業者は窮地に追い込まれていくことで、中期的には業界の再編・淘汰が顕在化していくことも想定している。

▲掘璽─璽掘爾箸猟鷏箸魘化  上記のような外部環境を踏まえて、今期は次のような経営方針を打ち出している。
 臨床試験が途中で中断する場合がある。今回のように医薬品メーカーのいわば台所事情もあるが、新薬に安全性や効能に問題が見つかると当然、そのプロジェクトは打ち切りとなる。そうなれば、稼働率の低下は避けられないので、機動力のある派遣業務と単価の高い受託業務を適度に組み合わせるハイブリッド型CROモデルを更に進化させる方針である。
 筆頭株主であるシーエーシーとの協業関係の構築にも力を入れいく。CROの主な業務はモニタリング、データ解析、薬事申請などであるが、これらをワンストップでサービス提供していくことで、ユーザーの信頼を勝ち取っていくことを目指している。具体的には、シーエーシーからの取締役の受入、同社単独で手掛けていたデータ解析分野に関してはシーエーシーに出向させることで業務を統合、さらに定期的に共同で営業会議などを開催している。
 ところで、シーエーシーはCACクリニット(従業員50名程度)、螢リニカルトラスト(同70名程度)のモニタリング業務を手掛ける子会社を有してる。この点では、MICメディカルと競合関係にあるとみられかねないが、むしろ人材確保や教育研修などの面で協業を図ることによって、無駄な経費が抑制できるなど、同社では前向きな評価を行っている。
 シーエーシーとの協業関係強化は、「当社の強みであるモニタリング業務受注拡大を目指し、先行している大手企業に追随していく」(間瀬社長)戦略と位置付けている。ただ、こうした取り組みはスタートしたばかりでもあり、同社では今期の業績予想には織り込んではいないとのことである。

新年度は順調な出足  今回の会社説明会において、出席者から受注状況の質問があった。これについて、新年度のスタート月である10月は前期末(09年9月)の受注残高13億57百万円に対して、16億円の残高になっているとの回答であった。当社がその後会社にヒアリングを行ったが、 これは大口の案件を受注したことが大きな要因となっている。受注残高は順次、売上計上されていく仕組みからすれば売上計上以上に受注がなければ残高は増えないので、前期末比で2億円強の増加はかなり大口の案件を受注したことが推察される。
 また、最近の状況は派遣の引き合いが強く、足元の状況に限定していえば、同業務から業績回復が進んでいるようだ。
 なお、今期の業務別の売上高は、派遣業務が前年同期比0.6%増の18億3百万円、受託業務が同13.5%増の14億86百万円、薬事申請が同横ばいの2億74百万円を見込んでいる。同社が目指している派遣業務と受託業務の比率1対1にかなり近づく予想を立てている。

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