株式会社トレジャー・ファクトリー vol.2

売上高は初の50億円突破の公算大  加速化してきた新規出店

総合リサイクルショップ「トレジャーファクトリー」、ユーズドセレクトショップ「トレジャーファクトリースタイル」の店舗運営などを手掛けている株式会社トレジャー・ファクトリー(証券コード:3093)の野坂代表取締役社長と小林管理部長に、10年2月期第2四半期の決算概況と今後の取り組みについて、09年12月1日に取材し、その概要をまとめた。

今期業績は2ケタの増収・増益で過去最高益更新の見込み

 10年2月期第2四半期の実績は売上高が25.4%増の24億68百万円、経常利益が同2.1倍の1億41百万円、当期利益が同1.8倍の63百万円となった。10年2月期の通期業績は売上高が前年同期比16.7%増の49億50百万円、経常利益は同13.1%増の2億50百万円、当期利益は同0.9%増の1億19百万円を見込んでいる。月次ベースでみた売上高の伸びは、新年度入りの3月から09年11月まで毎月、前年同期比20%増を上回って推移している。

今期業績を語る野坂社長
この数字は会社計画の売上高の伸び率16.7%増を超えて推移していることから類推して50億円台を突破すると予想される。
 また、同社が注視している売上高総利益率は、10年2月期第2四半期には前年同期の64.1%から65.5%と1.4ポイントアップしている。これは主力商品である衣料・服飾雑貨関係、電化製品関連が大きく伸びたことや、原価率の低い一般買取が好調であったことが寄与している。今期は積極的な出店計画を打ち出しており、店舗数の増加に伴う一般管理費・販売費をうまくマネジメントしていけるようであれば、利益面も期初計画をクリアするものとみられる。そうなれば過去最高益を更新することになる。
【会社概要】
企業名株式会社トレジャー・ファクトリー
所在地東京都足立区梅嶋三丁目32番6号
代表者名代表取締役社長 野坂 英吾
事業概要リサイクルショップの運営、リユース品のインターネット販売・買取
URLhttp://www.treasurefactory.co.jp/
売買単位1株
株価186,000円(09年12月18日終値)

(1)衣料・服飾雑貨、電化製品関連が好調

 10年2月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比25.4%増の24億68百万円、経常利益が同2倍強の1億41百万円、当期利益が同79.4%増の63百万円と、好調な決算となった。
 中でも同社が注目している指標は売上高総利益率で、前年度上期の64.1%から1.4ポイント上昇の65.5%となった。小林部長の説明によると、利益率が低かった貴金属類の販売が減少した一方で、衣料など他の商材の販売が大きく伸びたことが寄与したとみている。

 そこで、10年2月期第2四半期の商品別売上高をみると、衣料・服飾雑貨が前年同期比39.6%増の8億98百万円と最も高い伸び率、かつ過去最高の売上高を達成した。以下、電化製品が同の27.2%増の7億45百万円、生活雑貨が同4.1%増の3億48百万円、家具が同17.7%増の2億82百万円、ホビー用品が同22.1%増の1億79百万円という順になっている。商品別では、売上高で1位、2位を占めた衣料・服飾雑貨、電化製品が注目される。というのも、これら2分野の取り組み強化がこの上期からも窺えるからだ。
 衣料・服飾雑貨関係では、ファッションECサイトを運営しているマガシーク社と提携。提携の内容は、マガシークカード会員が不用になった衣料などを「magaseak」のキャンペーンサイトで、同社のサービスである「宅配買取サービス」に申し込み、買取が成立した場合に、買取価額の20%増しのマガシークポイントが付与されるというものである。第1回目のキャンペーンは8月に実施。11月には第2弾が実施されるなど、今後も定期的に実施していく予定だ。同社にとっては、マグシークカード会員に魅力的なサービスを提供することで、仕入れ部門の強化が図れるメリットがある。一方、上期には出店はなかったが、服飾専門店として4号店となるユーズドセレクトショップ「トレジャーファクトリースタイル 町田成瀬店」が9月にオープンした。仕入れ、販売の両面で拡充策が具現化している。

今上期の概況を語る小林部長
 また、電化製品分野では家電量販店のノジマと6月に業務提携している。ノジマは下取りサービスを行うことで、不要となった電化製品を対象に、同社が仕入れるというものである。同社にとっては安定的な仕入れルートのチャネルが新たに1つ増えたことになる。対象製品は液晶TV、冷蔵庫に限定したサービスから開始し、今後取り扱い商品を拡充していく方針である。一方、販売面では携帯電話の取り扱いなど商材の拡充にも注力している。
 ちなみに、2分野の売上高構成比をみると、衣料・服飾雑貨が08年2月期の34.6%から、09年8月期には36.5%と約2ポイントアップ、電化製品が同じく27.3%から30.3%と3ポイントアップしている。仕入れ部門も同様に、衣料・服飾雑貨が同36.3%から3ポイント近いアップの39.0%、電化製品が同28.6%から1.6ポイント増の30.2%にまで高まっている。

 以上のような取り組みや売上の趨勢から推察して、2分野のウェイトが高まる傾向は当面続きそうだ。
 ところで、同社が注目している売上高総利益率が向上している背景には、利益率の高い一般買取の比重が高まっていることも要因の1つとして挙げられる。10年2月期第2四半期の一般買取の比率は67.8%と前年同期の63.7%から4.1ポイントも上昇している。急速に冷え込んだ経済環境が同社にとってフォローの風が吹いているとはいえ、これまでの取り組みの成果が、こうした数値にも現れているといえよう。

(2)射程距離に入った年間2ケタの出店計画

 10年2月期は、売上高が前年同期比16.7%増の49億50百万円、経常利益が同13.1%増の2億50百万円、当期利益が同0.9%増の1億19百万円と、09年2月期の決算短信で公表した期初計画を変えていない。通期計画に対する10年2月期第2四半期までの進捗率は、売上高が49.9%、経常利益が56.4%、当期利益が52.9%となっている。
 既存店に新規店を加えた月次売上高の推移をみたのが右のグラフである。これによると、前年同月比で最も伸び率が低いのが11月の20.4%増であり、各月とも20%を超す極めて高い伸び率を示している。11月までの売上高をみると、下期に入っても高い伸び率を示しており、今後大きく経営環境が変化する可能性が低いとみられることから、同社としては初の50億円台乗せの公算大とみてよさそうだ。

 一方、会社側の利益見通しは慎重だ。野坂社長は「不確定要素などもあり、業績は堅めにみている」と慎重な経営スタンスを崩していないこともあって、通期業績予想は期初計画通りで変更していない。特に、新規店の黒字化には数ヵ月を要することや、商材の構成比によっては利益変動をもたらす可能性は否めないことが背景にありそうだ。ただ、上期実績がすでに通期計画の過半を占めていることや、下期も好調な売上を維持していることなどを勘案すると、どこかの時点で上方修正を行うという期待感は膨らんでくる。

 今後の取り組みの中では、出店計画に注目したい。新規店は08年2月期が5店舗、09年2月期が6店舗、10年2月期は7店舗を計画しており、新規店舗数が年々増えている。同社の知名度の向上によって駅前など立地条件の良い物件情報が多く入手できるようになってきたことや、これまでの出店によって培ってきたノウハウの蓄積もあり出店後の店舗運営が早期に軌道に乗るなど円滑な出店体制が整ってきたことが、新規店舗数の増加に反映してきているようだ。

 ところで、FC店を除く前期末の店舗数に占める当期の新規店の比率をみると、08年2月期が23%、09年2月期が22%、今期の新規店は計画通り7店舗とすると21%、さらに来期、新規店10店舗と仮定すると25%となる。これらの数値は既存店の生み出すキャッシュフローを新規店に振り向けた場合のいわば、1店舗当たりの“負担率”ともいえる。これまで業績が順調に拡大していることから、全体としての店舗運営は良好といえることから、同社が目指す2ケタの出店計画は“負担率”という指標からみて適正水準の範囲内であることが窺える。年間2ケタという出店計画は来期以降一段と現実味が増してきているといえそうだ。
 ちなみに、FC店を除いた店舗数(前期末と今期末の平均値)をベースにした1店舗当たりの売上高は08年2月期が1億37百万円、09年2月期が1億41百万円となっている。10年2月期の売上高は既存店が前年度並みとして、前期オープンした6店舗×1.4億円=8億円程度を単純に上乗せすると会社計画とほぼ同じ水準になる。これをさらに延長させると、来期は7店舗×1.4億円=10億円程度が見込まれ、売上高は60億円程度になる。立地条件の良いところでの出店が続くという前提ではあるが、中期的な視点でみても2ケタ成長が維持できよう。また、仕入れ面では一般買取のさらなる拡充、取り扱い商品の適正な運営・管理、それを支える同社独自のPOSシステムなどを行っていることから、利益成長も順調に進むものと期待される。

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